レートチェックによって本格的に為替介入の可能性が話題になっています。
今後、実弾介入があるか考えてみました。
前回(128円台のころ)に為替介入の可能性と、これまでの為替介入の歴史についてまとめたページもありますので、よろしければそちらもご覧ください。
ドル高・円安の要因
上記はドル円の週足チャートです。
2021年から長期的に上昇トレンドが続いています。
まずドル高・円安の要因をまとめてみます。
金融政策の違い
ジャクソンホール会議で、アメリカのパウエル議長は金融引き締めを続けインフレと徹底的に戦うことを示しました。
アメリカのインフレははピークアウトせず、原油が下がっても粘着性の高い住宅費がネックとなっており、今後もアメリカの利上げが続くと思われます。
一方、日本の黒田総裁は金融緩和を維持する必要があるとしており、金融緩和を辞める兆しはありません。
日本はもはや貿易赤字国
日本の8月の貿易赤字は過去最大になりました。
円安は輸出企業には有利なはずなのに、輸出数量が6カ月連続で前年比マイナスになっています。
日本が輸出国として輝いていたのはもう過去の話です。
もう国際的に競争力がないんでしょうかね。
今後輸入企業の実需のドル買い続くと思われます。
どうしてこうなっちゃったんだろう・・・
日本の技術も農産物も海外に流出してるからね・・・
口先介入の限界
ファンダメンタルズでは文句なしのドル高、円安ですが、口先介入がネックです。
今週以下のような口先介入がありました。
- 9月14日 鈴木財務相、為替介入含むかという問いに「そう考えてもいい」(ブルームバーグより)
- 9月14日 神田真人財務官、緊張感を持って監視し、あらゆるオプションを排除せずに適切な対応をしたい、と話した。(ロイターより)
- 9月14日 日本銀行が為替介入の準備のために、金融機関に為替相場の水準を訪ねる「レートチェック」を実施
- 9月14日夜 鈴木財務相、為替介入は「予告的にやるものではない」「やるときは間髪入れずに瞬時に行う」と円安をけん制。(ブルームバーグより)
現状一番強い口先介入がレートチェックです。
レートチェックは実弾介入の一歩手前です。
これ以上に強い言葉はないので、今後口先介入を頻繁に行っても、実際に実弾介入がなければ、口先介入の効果は徐々に薄れてきます。
オオカミ少年になりそうだね
口先介入で終わると見抜かれていそう
為替介入の可能性はあるか
個人的には為替介入はないと思っています。理由は以下のとおりです。
円買い介入は為替準備高から行う
米ドルなどの外貨の売却をすることで、円買い介入を行います。
保有資産を売却するので、弾には限界があります。
また日本の外貨準備高の8割は米国債などの証券です。
アメリカの金利が上がれば更に日本とアメリカの金利差が開き、ドル高要因になります。
円売りドル買いは容易いけど、円買いドル売りは難しいんだね
それに弾の上限がバレてるわけだから、円を買った以上に売り込まれるかも
ただの市場の養分にしかならないと思う
アメリカが許さない
インフレが続いているアメリカにとって、自国通貨高(ドル高)は国益です。
アメリカは消費国家で貿易赤字国です。自国通貨が高いということは、輸入には有利になります。
インフレを抑制するためにも、アメリカにとって自国通貨(ドル)が強いことは必須です。
ドル安・円高に誘導する為替介入は、アメリカの協力が期待できないため、協調介入はもちろん、単独介入さえも難しいのではないかと思います。
単独介入でもアメリカの了承は必要
円安をマイナスだと思っていない
そもそも日銀も財務省も、円安がマイナスだと思っていないのではないかと思います。
- 2月1日 神田真人財務官 円安について「日本経済にはプラスとマイナスの両面がある」(ロイターより)
- 6月7日 日本銀行の黒田東彦総裁 「急激な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、日本経済全体として見ればプラスに作用する」(ブルームバーグより)
- 9月6日 鈴木財務大臣 円安の日本経済への影響に関して「プラスの面もあればマイナスの面もある」としながらも、「急激な変動は望ましくないのは事実」(ブルームバーグより)
- 9月16日 鈴木財務大臣の「円安はプラスとマイナスの両面ある」(yahoo!より)
以上のように、円高ほどは円安を問題だと思っていないと感じられますね。
急速な円安が好ましくないと思っているだけで、円安トレンド自体は問題としていないのかな、と思います。
何より恐れているのは円高なんです
現状の円安ドル高はファンダメンタルズ通り
現在のドル高・円安は、完全にファンダメンタルズに沿った動きです。
金融緩和しながら、円買いの為替介入をするというのは、意味のないことです。
ファンダ通りのドル高円安ですが何か?
まとめ|円安を止めたいなら金融政策の変更を
為替介入で短期的に5円~10円の円高になることはあっても、金融政策が変わらない限り長期的なドル高円安トレンドを止めることはできないと思います。
上記チャートは前回作成したものです。
直近で最後に行われた円安是正介入は、24年前の1998年のアジア通貨危機の「円買い・ドル売り」介入です。
4月の単独介入直後は誘導したかったのと逆(円安)方向に動いています。
6月の日米共同介入によってやっと円高方向に動かすことに成功しました。
このように過去からも、単独介入でトレンドを転換させることは難しいことが分かります。
絶対アメリカの協力が必要です。
本気で円安を食い止めたいなら、単独介入なんて無駄なあがきは辞めて、すっぱり金融政策の変更をすることです。
私たち個人投資家はファンダメンタルズに沿うだけです。
投機的な動きと言われても、ファンダに沿えば、ドル買い円売り運用するしかないでしょう。。
以上、FX2年目の初心者の見解でした。。
円買いしたくなるような状況(経済、金融政策)になればそりゃ円を買うよな
介入したらごめんなさい(笑)でもしないと思います
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