- iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
- iDeCoのメリット
- iDeCoのデメリット
- iDeCoに加入できる条件
- 掛金の上限額と納付方法
- iDeCoに加入するには?
- 年末調整・確定申告でやること
- まとめ
まずはiDeCo制度について説明します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCoは老後の資産形成のための制度です。
iDeCoは自分で運用管理機関(証券会社、銀行)を選び、掛け金を拠出し、商品を選び運用します。
掛金や運用益に税制上の優遇措置が講じられています。
iDeCoのメリット
【積立時】掛金全額が所得から控除される
掛金全額が所得から控除されるため、所得税・住民税が安くなります。
【運用時】利息や運用益がすべて非課税
利息や運用益がすべて非課税になります。つまり運用時の税金はゼロです。
このように積立時、運用時に得られる税制上のメリットは大きいです。
しかし受け取り時には税金がかかります。
【受け取り時】一定額までは非課税
- 一時金としてまとめて受け取る場合は「退職所得控除」
- 年金として少しずつ受け取る場合は「公的年金等控除」
受け取り時、受け取り総額に対して課税されます。
受け取り時の運用年数やどのように受け取るかで控除額も変わってきます。
つまりうまく受け取るタイミングを調整する必要があります。
受け取り方についてはまた別記事で実例で考えてみたいと思います。
シミュレーション
iDeCoがどれほどの節税効果があるか、シミュレーションしました。
例)年収2,600,000円、年齢36歳、掛金23,000円でiDeCoに加入した場合
- 60歳になるまで掛金を積み立てると、
税額軽減額は993,600円
積立総額は6,624,000円
100万円ほども税金が軽減されるんですね。これは大きいです。
iDeCoのデメリット
元本割れのリスク
運用状況によって資産が増減します。
選ぶ商品によっては元本割れする可能性も。
長期運用が前提ですので、インデックス投資信託の私は受け取り時に減ることはあまり考えていません。
定期預金などを選べる管理機関もありますが、せっかく運用益に非課税というメリットがあるのですから、インデックスの投資信託を選びたいところです。
原則60歳まで資産を引き出せない
あくまで老後資金ですので、60歳になるまで資産は引き出せません。
これが最大のデメリットだと思います。
手数料がかかる
①加入時・移管時手数料(2,829円)、②口座管理手数料、③給付事務手数料、④還付事務手数料がかかります。
正直運用益で完全にペイできると思うので、気にするレベルではないでしょう。
ただ元本確保型の金融商品だけだと、手数料が運用利回りを超える可能性があります。
iDeCoに加入できる条件
ほとんど誰でも加入できる
- 60歳65歳未満※であれば誰でも加入可能。
→※2022年5月以降、65歳未満の方までiDeCoに加入できるようになった - 国民年金の保険料を払っていること
過去に未納の期間があっても現在保険料を払っていればOK
60~65歳未満でiDeCoに加入できる条件(2022年5月4日更新)
2022年5月以降、60~65歳未満の方も国民年金へ加入していればiDeCoに加入できるようになりました。
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入をすることができる。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)
ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできない。
20歳から60歳までちゃんと払ってた人は任意加入できない…
iDeCoに加入できない場合
- 国民年金基金に満額の掛金を拠出している場合
国民年金基金とiDeCoは共通の掛金枠のため。
両方合わせて68,000円以内。 - 企業型確定拠出年金が勤務先にある
※同時加入が認められている場合は可能。会社に確認が必要
掛金の上限額と納付方法
掛金の上限額
最低5千円から千円単位で積み立てます。
掛け金の限度額
加入資格 | 掛け金(月額) | |
---|---|---|
国民年金第1号被保険者 | 自営業やフリーランスやその家族 | 月額68,000円 |
国民年金第2号被保険者 | 企業年金のない会社員 | 月額23,000円 |
企業型DCに加入している会社員 | 月額20,000円 | |
確定給付企業年金、厚生年金基金に加入している会社員 | 月額12,000円 | |
公務員 | 月額12,000円 | |
国民年金第3号被保険者 | 専業主婦(夫) | 月額23,000円 |
掛け金の納付方法
「事業主払込」と「個人払込」の二種類があります。
事業主払込:勤務先で給与天引きする
個人払込:自分の口座から振替する
私は「個人払込」を選びました。
理由は「事業主払込」だと、派遣元の作業が煩雑になるのではないかと思ったからです。
給与明細も変わってくるでしょうし。
派遣元が楽な方が、すんなり手続きがいくのではないかと思います。
iDeCoに加入するには?
運用管理機関を選ぶ
まず運用管理機関を選ぶ必要があります。
NISA口座や証券口座を選ぶときと同じですね。
運用管理機関によってラインナップやコストが異なるので慎重に選ぶ必要があります。
後から変更もできますが、変更する場合は保有している商品を売却して現金化しないといけないので、変更しないことを前提で慎重に選んだ方がいいです。
おすすめ運用管理機関
長くなるので、詳細は別記事でご紹介します。
運用管理機関を選んだら、資料請求しましょう。
事業主に証明書の作成を依頼する
最初に1回だけ必要な手続きです。
ここが一番面倒なところ、ここを乗り越えれば…!
会社員は、iDeCoの加入申し込み時に「事業主の証明書」が必要になります。
他の企業年金の加入の有無で掛け金が異なってくるので、この証明書が必要なのです。
運用管理機関からの資料に「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業所の証明書」という用紙がありますので、派遣元の年金の業務を行う部署(総務、経理など)に記入を頼みます。
「事業主の証明書」の作成は、法律(確定拠出年金法第78条)によって事業主は加入者に協力するよう定められていますので、加入に協力してもらえるはずです。
先人がいればスムーズにいくでしょう。
この、会社(派遣元)に頼むというのが、iDeCoで一番ネックになるところだと思います。
派遣先で日々業務を行っているので、派遣元の担当者に会えるのは3ヵ月に1回しかありません。
面談時に営業担当に渡してもいいのですが、それでは時間がかかるので、私の場合派遣元に下記のような手紙を送りました。
- iDeCoに入りたい旨を説明した手紙
- 「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業所の証明書」
→自分が記述すべき箇所を記入しておく - 切手を貼った返信用封筒
→返信してもらうために用意
余談ですが事業主(派遣元)に記入してもらう箇所に「6.連合会への「事業所登録」の有無等(複数回答可)」という欄があり、事業主にこれまでiDeCoに加入している社員がいるかどうか分かる欄があります。
私の派遣元は「いずれの登録もない」でした。
派遣元の社員、そして派遣登録して働いている人含め、私が初のiDeCo加入者だったということです。
老後のことを考えてiDeCoをやっている人ってあまり多くないんだね
年末調整・確定申告でやること
11月ごろ、「小規模企業共済等掛金控除証明書」という圧着ハガキが送られてきます。
年末調整をする場合、会社から配布される「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者控除申告書」の「小規模企業共済掛金額」に払込合計金額を記入し、「小規模企業共済等掛金控除証明書」を添付して提出します。
ちなみにいつも「小規模企業共済等掛金控除証明書」は派遣元から給与明細などと一緒に返送されてきます。
実は写し(コピー)でよかったりするのかな…?
でもそんなことどこにも書いてないので毎年原本を添付してます。
まとめ
派遣社員でも加入できるiDeCo。ボーナスがなく、終身雇用ではない派遣だからこそ、将来への備えは重要だと思います。
iDeCoは自分でつくる、じぶん年金です。
資料の取り寄せや事業主に証明書の作成を依頼など、最初は少し面倒ですが、それを乗り越えればあとは年末調整に数字を書いて、証明書を添付するだけで済みます。
せっかくある税制優遇ですから、最大に利用していきたいです!
契約が終わったら派遣元を変えるかもしれないし、手続きを考えたら面倒でなかなか加入しなかった私です。